寄付という名の最高の自己投資
私自身、投資や資産形成について学んできましたが、最終的に重要になるのは、単にお金を増やすことだけではなく、そのお金を使って「いかに豊かな人生を送り、幸福な最期を迎えるか」だと感じています。
多くの人は、老後の生活資金を確保し、残りを家族へ遺すことを考えます。 もちろんそれは非常に大切です。しかし、もう一つ、「社会へのお返し」という選択肢を持つことが、私たちの人生に想像以上の彩りと充実感を与えてくれるのではないでしょうか。
なぜ私は「寄付」を考えるようになったのか
お金は、単なる決済手段や価値の保存手段ではありません。 それは、自分の価値観を表現し、自分らしさを社会に示すためのパワフルなツールです。
世界的な資産家であるウォーレン・バフェット氏やビル・ゲイツ氏が、資産の大部分を寄付し、子どもたちには「何もしなくても生きていけるほどの大金は残さない」と公言しているのは有名な話です。 彼らは、過剰な富が子どもたちから「自らで富を築く喜び」を奪い、人生の充実感を損なう可能性があると考えているのです。
これは、私たち一般人にとっても示唆に富む話です。子どもたちの人生を本当に豊かにするのは、大金そのものではなく、自らの力で人生を切り拓く経験や、社会に貢献する喜びを知ることなのかもしれません。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスも言っているように、幸福への道は「自分自身を知る内面の旅」と「社会の役に立つ外面の旅」から成り立っているのです。
「寄付」は受け身の慈善活動ではない
「寄付」と聞くと、どこか「慈善」や「施し」といった、受け身のイメージを持つ方もいるかもしれません。 しかし、私はこれを「自分の価値観に基づき、社会をより良くするために能動的にお金を使う、積極的な投資活動」だと捉えています。
自分が一生懸命働き、リスクを取り、時間をかけて築き上げた資産。 その一部を、自分が大切だと思う理念や、支援したいと心から願う人や組織のために使う。 それは、このうえない喜びと精神的な充足感をもたらしてくれます。
考えてみれば、私たちが資産を築くことができたのは、個人の努力だけによるものでしょうか。安定した社会、教育システム、ビジネスの機会など、日本という国が提供してくれた恩恵も大きいはずです。 そう考えると、自分が受けた恩の一部を、社会に「お返し」するのは、とても自然なことのように思えてきます。
寄付がもたらす、人生最高の幸福感
寄付をすることで得られる満足感は、他の何にも代えがたいものです。 心理学者マズローの有名な欲求段階説で言えば、最高次の「自己実現」のさらに上にある「自己超越」の欲求、つまり他者のために貢献したいという欲求が満たされるからかもしれません。
具体的に、どのような貢献ができるでしょうか。可能性は無限に広がっています。
- 未来への投資: 才能ある若者のための奨学金を設立する。
- 困難な状況にある人への支援: 病気や貧困に苦しむ人々を支える団体に寄付する。
- 社会の発展への貢献: 科学や医療、社会正義の分野の研究を支援する。
- 文化の振興: 音楽や演劇、芸術といった、人々の心を豊かにする活動を後援する。
- 地域社会への貢献: お金だけでなく、自らの時間やスキルを使って、住みやすい街づくりに参加する。
こうした活動は、社会に貢献できるだけでなく、同じ志を持つ刺激的な人々との出会いという、素晴らしい副産物ももたらしてくれます。
もちろん、寄付を考える前に、ご自身の引退後の生活資金を確保し、家族と将来について話し合うことが大前提です。 しかし、もしあなたに少しでも余裕があるのなら、ぜひ社会貢献という選択肢を考えてみてください。
それは、自分の資産を社会のために役立てることで、深い喜びと「生まれてきてよかった」と思えるほどの幸福感を得られる、最高の「自己投資」だと私は信じています。
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